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長時間労働者に対する医師による面接指導等の実施状況調査報告書 2010.09.12

8月30日、独立行政法人労働安全衛生総合研究所より「長時間労働者に対する医師による面接指導等の実施状況調査」報告書が公表されました。

平成18年4月に改正労働安全衛生法が施行され、50人以上の規模の事業場において長時間労働者に対する医師による面接指導(面接指導制度)が義務づけられました。そして、猶予されていた50人未満の事業場においても平成20年4月に義務化されました。改正安衛法の施行から4年が経過し、最新の実施状況を調査したものです。

ランダムサンプリングした全国2,000社(会社従業員50人以上:1000件、同10人以上50人未満:1000社、業種の指定はなし)に2010年5月末調査票を郵送。労働衛生管理業務に通じている者に回答するよう依頼し、同年6月21日までに返送された回答票まで有効として解析されています(解析対象527事業場)。

目的としては改正安衛法に関して主に以下の点についての現状を把握することとされています。
1.健康診断(特に特殊健康診断結果等の結果通知状況)
2.面接指導制度の認知度
3.面接指導の実施状況(特に50人未満の事業場規模)
4.申し出制度の認知度、必要性についての認識

独立行政法人労働安全衛生総合研究所
  http://www.jniosh.go.jp/results/index.html
長時間労働者に対する医師による面接指導等の実施状況調査報告書
  http://www.jniosh.go.jp/results/2010/0830/report_longwork_201008.pdf

平成18年改正の本制度(面接指導の創設)で分りにくい点が、「なぜ面接指導の要件を労働者の申出としたのか」という点にあったのですが、あまり突っ込まず、「多分こういう理由だろう」と推測していたのですが、今回の調査はその点を明確にしてくれました。
 
調査の中で「申し出制度の認知度、必要性についての認識」という項目があります。申し出制度の認知度については本制度について知っていると回答した者を対象としているので、当然、申し出制度認知度は高いものとなっています。興味は必要性についての認識ですが、報告では次のように考察しています

『 規模の大きな事業場の労働衛生管理業務に通じている者では申し出制度の認知度が高かったが(9割以上)、推測による回答ではあるものの現場労働者の認知度はそれより低い可能性が示唆された。労働者50人未満の事業場での認知度は規模の大きな事業場と比較するとやや低く、認知していたのは約8割であった。また、事業場の規模が大きくなるにつれて申し出やすい環境整備を行っていた。従って、規模の小さい事業場への申し出制度の認知度を上げるために、労働者に対して申し出制度を周知徹底することや、申し出やすい環境の整備などの対策が必要であることが示唆された。
 全体の約7割が申し出制度は必要であると回答した。その理由は、申し出制度を廃止することによる業務や経費の増大を懸念するのではなく、「真に面接指導を必要とする労働者を対象とできるから」「疲労の蓄積状況は本人にしか分からないから」(事業者側の6割~8割)のように、労働者の自覚的健康状態や要望を聞き入れた上で面接指導を実施したいためと思われた。
 一方、約3割が申し出制度は必要ではないと回答したが、その理由では「面接指導が必要と思われる者が必ずしも申し出ない恐れがあるから」が最も多く(事業者側の約5割~8割弱)、これは労働者の自覚的健康状態や要望に関係なく面接指導を実施すべきという考えに基づいていると思われる。なお、申し出制度は必要でないと回答した労働者300人以上の事業場では、7割弱が既に申し出の有無にかかわらず面接指導を実施していた。』

 調査では”申し出制度”に高い理解が示されているのですが、これは面接指導の対象労働者については「時間外労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者」となっており、この「疲労が認められるもの」が付加されているために”申出”が妥当性を帯びる結果ではないかとも思えます。ところが、”1月100時間の時間外労働”というのは労災の「脳血管疾患及び虚血性心疾患の認定基準」における短期間の過重業務に該当し客観的に発症リスクは高まる訳で、”疲労の蓄積”という自覚症状を条件に付加することの意義に私は疑問を感じるのですが…。

【法令】
労働安全衛生法第66条の8(面接指導等)

事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2~5項 略
面接指導の対象労働者(施行規則52条の2)
面接指導の対象労働者は休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者。
面接指導の実施方法(施行規則53条の3)
そして、面接指導の実施は対象となる労働者の申出により行うものとされています。

【厚生労働省】
労働安全衛生法の改正について
  http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/index.html
パンフレット等(改正労働安全衛生法平成18年4月1日施行)
  http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/060401.html
「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」
  http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/tp0630-1.html

過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会報告書(平成16年8月 厚生労働省)


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