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雇用調整 2009.04.25

今回の経済危機におけるこれまでの雇用調整の特徴として非正規雇用の雇止め・解雇がある。2002年2月から一昨年10月までの景気回復は、家計には「実感なき拡大」といわれるように、輸出企業中心の回復過程であった。その中で製造業への派遣拡大が行なわれ、今回の経済危機がその輸出企業を直撃したことが背景にある。非正規雇用に対するセイフティーネットの未整備が言われているが、それよりも消去的に非正規雇用を選択せざるを得ない状況の中で、依然として雇用の調整弁としての機能が容認されているところに問題点があるのではないかと思う。乱暴な私見は別にして、現状といくつかの視点についてスクラップ。

1 雇用調整の意義
2 雇用調整の方法(手段)
3 雇用調整の推移と現状
4 雇用調整の法的視点
5 雇用調整に対する政策-雇用調整助成金を中心に-
6 雇用調整に対する調査研究機関のレポート


1 雇用調整の意義
(1)雇用調整の根拠
企業の雇用調整の根拠は何か、『根本的には私的営業活動の自由、すなわち競争原理化においての私企業体制を保障し、その自発的・弾力的調整機能による活力を武器とした相互の切磋琢磨こそが労働生産性を高め、製品・サービスのコストを低減し、品質を向上し、つまるところ国民の富や福祉の増大をもたらすとの現憲法秩序の理念にもとづいている。』(「人員削減賃金ダウンの法律実務」高井伸夫 日本経団連出版p69)

(2)雇用調整の定義
ネット上で「雇用調整とは」「雇用調整」で検索した結果、あまり定義を書いているものはなく、以下のものを挙げておく。

○「雇用調整とは、企業内で発生した過剰雇用を残業規制、休日・休暇の増加、臨時労働者の再契約停止、配置転換、出向、解雇等、幅広い方法によって調整すること」
〔産業活動分析平成13年7-9月期p67(経済産業省)〕
                          
○「経営の判断に基づいて生産・販売・受注の量と雇用量のバランスを調整すること」(倒産・再建.com

○「雇用そのものを解消させる、ないしは労働条件を現状より低下させる変更を行なうことの総称」
「不況期における雇用調整の実務第1回」 林 昭文 株式会社トランスラクチャ 労政時報クラブ)


2 雇用調整の方法
(1)雇用調整の種類
雇用調整の種類を各種統計で見ると

労働経済動向調査(平成21年2月)結果の概況(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/0902/hyo04.html
 残業規制
 休日の 振替、夏季休暇等の休日・休暇の増加
 臨時・季節、パートタイム労働者の再契約停止・解雇
 中途採用の削減・停止
 配置転換
 出向
 一時休業(一時帰休)
 希望退職者の募集、解雇

 操業時間・日数の短縮
 賃金等労働費用の削減
 下請・外注の削減
 派遣労働者の削減

産業活動分析 平成13年7-9月期(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h13/h4a1112j067.pdf
 「残業・休暇調整」:残業規制、休日の振替、夏期休暇等の休日・休暇の増加
 「臨時雇用調整」:臨時・季節・パートタイム労働者の再契約停止・解雇、中途採用の削減・中止
 「配置調整」:配置転換、出向
 「人員調整」:一時休業(一時帰休)、希望退職者の募集、解雇。

職種別民間給与実態調査(人事院)
http://www.jinji.go.jp/toukei/0311_minkankyuuyo/minkankyuuyo.htm
※毎年実施され、「雇用調整」は常設。「賃金カット」は別項扱いにしている
 賃金カット

 採用の停止・抑制
 部門の整理・部門間の配転
 業務の外部委託・一部職種の派遣社員等への転換
 転籍出向
 一時帰休・休業
 残業の規制
 希望退職者の募集
 正社員の解雇

労働事情実態調査報告(各都道府県中小企業団体中央会)
 残業規制
 一時帰休(一時休業)
 配置転換
 他企業への出向
 所定労働時間の短縮
 休日の増加
 パート労働者の再契約中止・解雇
 希望退職者の募集
 正社員の解雇
 中途採用の削減・中止
 新規学卒者の採用削減・中止
 その他

※統計上、特に区分していないが、雇用調整の方法は人員削減を伴うものと、伴わないものに分類される。

※上記の項目の中にはないが早期退職制度も挙げられる
早期退職(優遇)制度:希望退職が経営の危機の到来が決定的となり、解雇もやむなしという現状で実施される措置であるのに対し、雇用関係の合意的解約であるが、希望退職と違い必ずしも経営が破綻的現状ではない企業においても減員策を講じていくために実施する措置

(2)雇用調整の順序
先ず人員削減を伴わないものが先に行なわれることは論を待たない。残業規制が最初に来て、最後に整理解雇が来るわけだが、整理解雇については整理解雇の4要件(要素)という判例法理があり、解雇回避義務を尽くしたかどうかが問われ、解雇の前に希望退職の募集が行なわれるのが一般的になっており、それまでに配置転換・出向・一時休業(一時帰休)の措置が採られるだろう。問題は非正規雇用者の雇止め、解雇である。


3 雇用調整の推移と現状
過去の雇用調整と現況を政府統計にみる

産業活動分析 平成13年7-9月期(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h13/h4a1112j067.pdf

労働経済動向調査(平成13年11月)結果速報(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/0111/kdindex.html

雇用調整実施事業所割合の推移(S61-H13)   雇用調整の方法別集計(H13.7-9)

労働経済動向調査(平成21年2月)結果の概況(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/0902/index.html

雇用調整実施事業所割合の推移(H12-H20)    雇用調整の方法別集計(H20.10-12)


企業行動に関するアンケート調査(平成20年度)結果(内閣府 平成20年4月22日)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/ank/ank.html
雇用調整を行っている企業では、正社員・正社員以外ともに「残業削減」を選択する企業の割合が最も高く、「解雇」は最も低い。ただし、非正規労働者を対象とした場合、雇用調整や賃金抑制の手段として「解雇」を選択する企業が29.7%に上り、契約を更新しない「雇い止め」を含む「採用抑制」も61.2%が選択した。一方、正社員の「解雇」は4.7%と最も低い

雇用調整の方法(正社員)  雇用調整の方法(非正社員)

※残業抑制の割合が最も高くなることは当然と思われる。今回の雇用調整の特徴は、直接の人員削減効果にもかかわらず、法的リスクの少ない派遣契約の解消が突出しているということである。


4 雇用調整の法的視点
(1)賃金カット
労働組合がある場合は、合意に至れば協約で対応できるが、ない場合は就業規則の変更が必要になる。この場合、就業規則の不利益変更の問題となり労働契約法第10条すなわち「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである」必要ガある。

(2)非正規労働者の雇止め・解雇
非正規労働者割合の推移(労働力調査 総務省) 
非正規従業員割合の変遷

緊急経済対策要望〔(社)経済団体連合会 1998年(平成10年)10月12日〕
  http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/pol202.html

①派遣労働者
派遣受け入れ企業にとっては、派遣契約を解約してしまえば派遣労働者に対し何ら法的義務を負わない。今回大きく問題となり、指針の改正に至ったところである。

派遣契約の中途解除に係る指針改正のイメージ
派遣切りを考える
残業削減雇用維持奨励金
※本年3月30日に新設された助成金。期間工・派遣労働者も含めた雇用維持が目的。2月に創設された派遣労働者雇用安定化特別奨励金は2009年問題に対応した助成金。本局面でどの程度雇用維持効果があるか不明。

②請負企業の労働者
労働契約関係は派遣とは異なるが、請負契約が解除されれば結果は似たようなものである。

労働者派遣契約の中途解除に係る対象労働者の雇用状況について(速報)(平成21年3月31日)
雇用調整の対象となった派遣、請負等の状況について

※今回の経営環境から考えれば、雇止めも止むを得ないのかもしれないが、問題はその姿勢だろう。個別企業ごとに違いはあるが、誠実さを欠き、理性を失した対応といわざるを得ない。

③期間工
判例によれば労働契約法第16条すなわち解雇権濫用法理の類推適用が考えられるところである(東芝柳町工場事件)。雇用の臨時性・常用性、契約更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待を持たせる言動・制度などの諸事情を勘案して、労働者の雇用継続への期待を持つことを首肯できるような状況においては解雇権濫用法理の類推適用が勘案される。しかし整理解雇においては正規従業員に先立っての整理解雇の効力を幅広く認めているなど、その合理性の程度を正規従業員の場合に比べて穏やかに解釈している(日立メディコ事件)のが現状であろう。

(3)一時帰休(休業)
労働基準法は第26条において「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定めている。民法536条第2項(危険負担)の規定は使用者の故意・過失を要求し、任意規定(当事者の特約で排除できる)であるのに対し、休業手当は使用者の帰責事由を広く解し(経営上・管理上の責任を含む)、強行規定である。なお、労働基準法上の最低基準は平均賃金の100分の60であるが、その休業につき使用者に故意、過失のある場合、労働者は100%の賃金請求権を留保する

休業についての手続等について法は別段定めていない。就業規則に「経営困難など業務上必要な場合は、休業を命じる事がある」などの規定を置き、その場合の休業手当の額を定めるのが通常であるが、休業協定のようなものが必要なわけではない。ただし、雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)を受給するためには、労使間の協定による休業であることが必要である。

参考:休業協定書様式(愛知労働局)

(4)出向
①出向の目的
 関連会社への経営・技術指導
 労働者の能力開発・キャリア形成
 企業グループ経営(事業部門の分社化・子会社化)を担う人事戦略
 中高年齢者のポスト対策
 不況に伴う雇用調整 など

②出向命令権の要件
出向命令には労働者の同意が必要であることについては異論がない。では就業規則に「業務上の必要がある場合、従業員に対し出向を命ずることがある」との規定をおけば出向命令権の根拠となるかといえば、一般的に裁判例は著しい労働条件の変更がなければ肯定するる傾向にあると思われるが、一概に即断はしかねない。実務的には出向先、出向従業員の身分、待遇、そしてできれば出向期間等の規定の整備が必要だと考えておくべきである。(「転勤・出向・転籍等の法律実務」石嵜信憲 中央経済社p93)

③雇用調整のための出向
『業務命令としての出向と整理解雇回避の努力の一環としての出向との違いは、業務命令の出向の場合、整理解雇の要件の存在は必要ないが、就業規則等に出向規程の定めが必要である一方、整理解雇回避の努力の一環としての出向の場合、整理解雇の要件は必要であるが、就業規則等の出向規程の存在は必要ない。』(同書p116)

(5)正社員の整理解雇
整理解雇の4要件として、判例法理が形成されているところである。
【整理解雇の4要件】
a 人員整理の必要性(倒産必死の状況⇒高度の経営危機)
b 解雇回避努力(出向・配転・希望退職の募集…結局はこの義務につき尽くすものはつくしたかどうか)
c 被解雇者選定の合理性(年齢基準⇒人員整理の目的・趣旨に照らして合理的であれば足りる)
d 手続きの妥当性(労働組合や労働者に対する説明協議)

リーディングケース:長崎地裁大村支部昭50.12.24判決「大村野上事件」
             東京高裁昭54.10.29判決「東洋酸素事件」
ただ、近年、裁判例はこの4要件を部分的に緩和する傾向を示している〔ナショナル・ウェストミンスター銀行事件(第3次仮処分)事件-東京地決平12・1・21など〕

(6)採用内定取消し
①内々定取消し
「採用内定開始日」よりかなり前に、企業が採用を望む学生に対し口頭で「採用内々定」を表明し、内定開始日に正式に書面で「採用内定を」を通知するという慣行が形成されている。この「採用内々定」の法的性格は、始期付解約権留保付労働契約の成立としての「採用内定」とは認めがたいのが一般的であるが、これは名称如何によって形式的に区別されるものではないので個別的な考察が必要となる。

内々定取り消し「違法」/労働審判(福岡)

②内定取消し
「採用内定」の法的性質は、「就労又は労働契約の効力の発生始期付で解約権留保付」と考えるのが判例・通説である。新規卒業予定者の「採用内定」については、会社からの採用内定通知が学生に届いた時点で始期付解約権留保付の労働契約の成立を認める。

内定取消しは使用者の解雇にあたり、その適法性は留保解約権行使の適法性の問題となる。この留保解約権の行使が適法と認められるためには「解約権留保の趣旨、目的に客観的に照らして合理的で社会的に相当として是認できるもの」に限られる。具体例としては、病気、けがなどにより正常な勤務ができなくなった場合、内定を出した当時には予測できなかった不況の深刻化で会社の人員計画大幅に変更せざるを得ず既存の社員の減員をも考慮しなければならない事態に陥った場合、内定時に申告していた経歴・学歴の重要部分につき虚偽が判明した場合などが考えられる。

この内定取消については、債務不履行(誠実義務違反)又は不法行為(期待権侵害)に基づく損害賠償請求が認めらる。

行政の対応
「新規学校卒業者の採用に関する指針」
「新規学校卒業者の採用内定取消し防止について」
  採用内定取消し問題への対応について(平成21年1月19日職業安定法施行規則の改正施行)

新規学卒者の採用内定取消し件数の推移(平成20年11月28日発表)
採用内定取消し件数(平成21年3月23日現在)


5 雇用調整に対する政策-雇用調整助成金を中心に-

緊急雇用対策による助成金の拡充・創設

雇用調整助成金に係る休業等実施計画届受理状況(平成19年度及び平成20年度)【速報値】(平成21年3月31日 厚生労働省)

「雇用調整助成金受給事業所の経営と雇用」(労働政策研究・研修機構 平成17年11月25日))
  http://www.jil.go.jp/institute/research/2005/010.html
2004年5~7月、同年11月~05年1月にそれぞれ実施したアンケート調査の結果から、助成金受給対象事業所の経営状況や人事管理戦略、助成金支給対象者のプロファイルなどを明らかにし、助成金の影響や効果、問題点などを分析している。
雇用調整助成金支給実績の推移
雇用調整助成金支給実績の推移

※雇用調整助成金については、平成13年10月から指定業種に対する助成方式が廃止されている。 (「月刊中小企業レポートNo.299」 平成13年10月号


6 雇用調整に対する調査研究機関のレポート

「派遣労働者の雇用調整~生産調整の影響がかつてよりダイレクトに~」 (第一生命経済研究所レポート2008年12月22日)
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/kuma/pdf/k_0812f.pdf

「今回の景気後退、4 社に1 社が雇用調整を実施へ」(株式会社帝国データバンク 産業調査部 2009年1月8日)
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0812.pdf

「雇用危機のマグニチュードと 対応策の在り方」(日本総研 2009年2月12日)
http://www.jri.co.jp/press/press_html/2008/090212.html

「雇用の非正規化が雇用調整に及ぼす影響」(ニッセイ基礎研究レポート 2009年3月号)
http://www.nli-research.co.jp/report/report/2009/03/repo0903-2.pdf

「以外に穏やかな雇用調整とその背景」(三菱UFJ銀行「経済レビュー」平成21年4月27日 )
http://www.bk.mufg.jp/report/ecorevi2009/review20090423.pdf


【参考文献】
「人員削減・賃金ダウンの法律実務」(高井伸夫 日本経団連出版)
「雇用リストラ」(櫻井稔 中公新書)
「転勤・出向・転籍等の法律実務」石嵜信憲 中央経済社)
「労働法」(菅野和夫 弘文堂)


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